税法の欠陥を利用する
今回は消費税について考えてみます。
税法の規定からすると、消費税は事業者が納付する税金であって、
消費者が納税するものではありません。
当たり前のように消費税を負担させられている消費者には迷惑な話ですが、
これが消費税の特徴なのです。
この特徴は、消費者が消費税と思って払ったものが
税務署に全額納税されない欠陥を持っています。
税法がどのようにして消費者に消費税を負担させたらいいかを規定していないからです。
この消費税の欠陥は消費税を節税するうえで重要なポイントとなっています。
事業者が消費税を逃れる第一の手段は、消費税の課税業者にならないことです。
消費税は年間の売上金額が1000万円を超えた場合に課税業者になって納税義務が発生
することになっています。
年間売上が1000万円以下の小規模事業者は経理処理その他が大変だから消費税は
払わなくていいことになっているのです。(納税義務の免除)
この売上金額が1000万円以下であるかどうかは、基準期間の売上金額で判断します。
基準期間とは、2年(事業年度)前の期間のことを指します。
そして、ここに大きな節税ポイントがあるのです。
例えば、個人事業者が平成21年に商売を開始した場合、基準期間は平成19年になります。
平成19年は商売を始めていませんから、当然ながら売上金額は0円です。
翌年平成22年の基準期間は平成20年です。
同じく売上金額は0円です。
すなわち、平成21年と平成20年は納税義務がないことになります。
この2年間に関しては、売上金額が100億円あっても、いや例えトヨタ並みの売上金額が
あろうと消費税は全く納めなくてもいいのです。
あまりにも不合理で不公平な取り扱いですが、現在の税法ではそうなっています。
それは新しく商売を始める場合だけとは限りません。
現在の個人経営を法人組織に変更した場合でも同じです。
新しく設立した法人には「2年前の売上」がないのですから、
個人経営のときと同じ商売をしていても消費税を払わなくてもいいのです。
(但し、資本金額が1000万円以上の法人の設立当初の2年間については、
納税義務は免除されません。)
ということは。
個人事業
↓ 2年後、資本金額1000万円未満の法人を設立
法人
↓ 2年後、清算し個人事業に戻る
個人事業
↓ 2年後、資本金額1000万円未満の法人を設立
法人
↓ 2年後、清算し個人事業に戻る
個人事業
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これを根気よく繰り返せば、永遠に消費税を支払わなくてすみます。
しかし、消費税は節税できても、こんなことばかりしていたら
社会的な信用度はなくなってしまうでしょうね。
さらに、何の合理的な根拠もなく繰り返す場合は、脱税まがいの行為とされてしまいます。
それでも、少なくとも個人事業を法人に組織変更することについては適切な商行為なので
合法的な節税になります。
事業を始める方の多くは、いきなり会社を作ってスタートしようとします。
まず、格好から、ということでしょうか。
しかし。ちょっと待って下さい。
最初から会社でいく場合、消費税の免除される期間は2年のみです。
先述のように、個人事業から初めて2年後に会社にすれば通産4年間消費税が免除されます。
開業当初は資金的に苦しいことが多いはずです。
個人事業で始めることに大きな支障がなければ、形よりも実をとった方が
いいのではないでしょうか?
(もちろん、経営は税金のことだけではありません。それに法人からのスタ-トでなければ
ならない業種もあります。そのへんはそれぞれ自分に合ったやり方でいいと思います。)
もし永ちゃんがこれから事業を始めるとして、この消費税のしくみを聞いたら、
どうしでたしょうね?
そもそもこのようなチマチマしたことには、あまり興味がないかもしれません。(笑)
それよりも、少しでもいい曲を、いいステージを、貪欲に追求していくことに
集中することでしょう。
その方が永ちゃんらしいね。